【ビールレビュー】ザ・マスター – 濃厚で硬派な旨みの奥にある練乳の甘さ。伝統のドイツ流ビール
限定発売のアサヒ ザ・マスターを買って飲んでみた。このビール、2009年の「ワールド・ビア・チャンピオンシップ」最高得点を獲得した名品の復刻版なのだそうだ。
なにゆえザ・マスターなのかというと、本場ドイツよりマスターと呼ぶにふさわしいビール作りの権威を招き、その監修を受けて開発されたビールだから。ドイツ伝統の醸造法を用い、深い味わいと香りを生み出しているとのこと。
原材料は麦芽、ホップ。度数は5.5%。泡はタッチが重くなりすぎない程度に、やや粘度を有しているように思う。
なんともいえない良い香りが、泡から漂う。麦、モルト、ミルク―――そんなイメージの匂いが、清流のようにクリアに香る。どこか不思議な感覚だ。
味はかなり濃厚でありつつ、気品のようなものも感じる。
第一に来るのはビールらしい苦味だが、その苦味もガツンとしつつどこか上品である。
苦味のすぐ背後には濃い麦の旨みがある。その旨みに充足感を覚えた後、余韻のように広がる甘みに恍惚とする。
なかなかに重厚な飲みごたえ。それでいて軽やかなタッチと、やはりしっかりとした品格がある。
ユニークさを感じるのは、味の奥にある甘いミルク感か。硬派で濃厚なビールの味の奥にあるほんのりとした練乳。これが旨く、飲む者を幸福感で満たしてくれる。
うーん、いいね。現状、限定かつ試験的販売のようだが、また飲みたい。
確かにちょっと特別な濃さや味わいを持つビールなので、日常に飲むレギュラー品としてはやや肩が凝るかも知れず、特別な機会にたまに飲む方がその魅力をよりよく味わえるかなとも思う。
定期的に再販してほしいものだ。