【ビールレビュー】冬物語 2024 – クリスマスの煌めき、雪の中のあたたかさを感じさせるビール
サッポロの冬物語はそのネーミングの通り、冬限定で毎年売られているけれども、その36年に及ぶ歴史の中で幾度かマイナーチェンジが行われてきたようだ。
今年2024年版もそれに当たるそうで、まずは一部に小麦麦芽を使用、またホップは「ザーツ産の最高級ファインアロマホップ」をたっぷりともちい「冬だけの贅沢な味わい」を追求したとのこと。
原材料は、麦芽(大麦麦芽、小麦麦芽)、ホップ、米、コーン、スターチ。度数は5.5%。
小麦麦芽使用というだけあって、色合いは明るい黄色系で、泡は白い。その泡は、ある程度のクリーム感を有しつつも、繊細でさっぱりとしたタイプ。
飲んでみる。まず最初に来るのは、マスカット、あるいは洋梨的なフルーティな甘さだ。そのあとで穏やかなビールの苦味が余韻として残る。麦の刻や旨みは、それらの背後、いや周囲を包み込み、味わい全体をまろやかにしている。
ちょっと意外に感じたのが飲み口の軽快さだ。甘くフルーティではあるが、あっさりでさっぱり。冬用というから、どちらかというと濃厚でこってりした味わいを想像していたのである。
しかしながらしみじみ味わって飲んでいると、これでいいのだと考えさせられた。
このビールの味から想起されるのは、クリスマスに近づいた時期の街並み。どんどん寒くはなるけれど、街はイルミネーションのきらめきに彩られ、人々は楽しそうで足取りも軽く、世界は幸福なリズムに包まれている。
味わいのワイン、いやシャンパンっぽさもいいね。女性やビールが苦手な人にも飲みやすそうだ。ライトでありつつ、上品で気品もある。カジュアルなパーティにも、高級な場にも、どちらにも合うと思う。
雪の降る冬の夜、寒くて冷たいが故に、あたたかさを想う。あたたかさを感知しやすくなり、そのありがたみや価値をしみじみと味わえるようになる―――あの感覚。
その感覚を想い出させるような味わいのビールである。