【ビールレビュー】インドの青鬼 – 度数7%のクラフトビール。ハードな苦みと、それだけではない濃厚な奥深さ
インドの青鬼とあるがインドのビールではなく、長野のクラフトビールメーカー、ヤッホーブルーイングのIPA(インディアペールエール)である。
同メーカーのクラフトビールの中でもトップに君臨する味の濃さと苦味を有する、ガツンとくるビールであるらしい。名前の由来だが、インドはIPAであるゆえ、青は苦味やホップのイメージ、そして鬼のように濃い味わい―――そんな意図によるネーミングであるようだ。
原材料は麦芽とホップ。度数は7%。ビールにしてはかなり高めである。
色合いもかなり濃いめで、琥珀色がかっている。泡は繊細かつさっぱりしたタイプのようだ。漂うのは落ち着いた渋めのグレープフルーツとハーブの香り。
さて心して飲んでみよう。グビリと一口。なるほどパンチのある苦味が第一に、第二にグレープフルーツとハーブの渋みが口の中に広がる。くぅ〜、と心身に沁みる味わいだ。
もちろん苦くて渋いだけではない。メインの味が苦味と渋味であるにも関わらず、余韻として広がるフルーティなさわやかさには驚かされる。実にさっぱりした後味だ。
探るように飲んでみると、旨みや甘みといった味わいもかなりの濃度で存在することにも気付く。苦みや渋みのインパクトが強すぎて後ろに隠れているだけで、旨みや甘みも十分にパワフルである。
そしてコク。泡も、味わいも、飲み口もサッパリ系なのに、コクもしっかりあるのだ。これにもどこか不思議な驚きを感じる。強烈な味わいを、尖ったものにしすぎないまろやかさが、ビール全体をひそかに包み込んでいる。
目を閉じて、じっくりと味わいながら空想する。浮かんでくる光景は、このビールを旨い旨いといって鯨飲している鬼たちだ。みんなグデグデに酔っ払っている。ビール版鬼殺しといっていいビールなのかも知れない。
そんなことを書いている私も、まだ1缶開けただけなのにかなり酔っ払ってきたな。強く、渋い味わいに脳が覚醒しているように感じていたら、いつの間にやら酩酊の世界におちいっている。
うむ、やはりビール界の鬼殺しかな。料理に合わせるとしたら、このビールの強い味わいに負けない味の濃い料理ということになるだろうが、あえてつまみなしで飲んでグデングデンになるのもオツなものである。