【ビールレビュー】75BEER WEIZEN - バナナの甘い香りの奥にある力強い麦の旨み

 75BEER WEIZEN(ナゴビール ヴァイツェン)はオリオンビールが出している限定クラフトで、やはり注目してしまうのは「沖縄産バナナを使用」というその一文だ。

 ドイツの伝統的なヴァイツェンスタイル(小麦麦芽をメインに使用した白ビール)を基本としつつ、沖縄ならでは味わいを実現するためにバナナを取り入れたとのことだが、どんなお味なのだろう。

 原材料は小麦麦芽、大麦麦芽、ホップ、バナナ。度数は5%。白ビールらしく、色合いは淡く明るい金色で(とはいえヴァイツェンにしては濃い方かな?)、白い泡はフワシュワ―――ミルキーなきめ細やかさと、ある程度の爽快さを併せ持ったタイプだと感じる。

 さてその泡に鼻を近づけてみると、確かに香る。バナナが。実際飲んでみて最初に感じるのもバナナ。それがバナナの風味を帯びたマスカットに変わり、まもなくやはりバナナとともにあるグレープフルーツになる。

 しっかりバナナだが、それがビールとして不自然ではないのはなかなかに驚きだ。余韻としては白ビールの小麦の旨みが舌に残るが、その旨みもバナナの香りをほのかにまとっている。

 多くの白ビール同様、苦味はほとんど感じない。しいていうなら、フルーティな甘さをグレープフルーツっぽく変えているのが苦味成分なのかもしれない。

 バナナの風味がしっかりなので、まさに南国のビールといった感じではあるのだが、ちょうど飲んでいるいまが寒い時期だからか―――それなりに寒い地方で、こんな季節に、南国の暖かさに想いを馳せながら飲む冬のビールというふうにも感じる。

 実際、クリスマスや年末年始のパーティでおしゃれに飲むにも向いたビールだろう。

  バナナを筆頭にしたフルーティさの奥には、寡黙ながらも力強い麦の旨みがあり、それはオリオンビールならでは。しっかりと旨いビールでもある。