【Beer】スプリングバレー豊潤〈496〉 – まさに豊潤な香りとともにあるビールの強い味わい【Japan】
スプリングバレー豊潤〈496〉はキリンのクラフトビール「スプリングバレー」シリーズのエース格。
スプリングバレーというのはキリンビール社の起源でもある、明治3年にビール製造を開始したという醸造所「スプリングバレー・ブルワリー」からきているようだ。
原材料は麦芽とホップ。度数は6%。麦芽はキリンラガーと比較して1.5倍量を用い、ホップは日本産の「IBUKI」をはじめとした5種類を使用しているとのこと。
グラスに注いでみると、その色合いに驚き、楽しくもなる。缶の色と連動した赤みがかった黄金色。泡にもまた、よく熟れた柑橘系のような赤みがある。
最初の一口。泡はキリンらしく、まったりクリーミーな感触。そのまろやかさの直後に、いかにも硬派なビールといった感じの強い苦みが、まさに豊潤で複雑な香りとともに押し寄せてくる。くぅ〜、と目を閉じて唸りたくなる味わいだ。
苦味の奥にあるのはこれもしっかりとした麦の旨み。その旨みのなかに爽やかな酸味があり、その酸味のなかに散りばめられている複雑なスパイス感が、舌を刺激し飽きさせない。
甘さやフルーティさは香りの中に存在し、また味の奥底にもある。それらがホップの香りと共に、味わい全体を上品にし、後味をすっきりさせているように思う。
飲み進める。グビリ、グビリとやるごとに、ガツンとくるのはやはり前面に出てくる苦味。まったくもって“うまい苦味”だ。クセになるなこれは。余韻には麦の香ばしさを感じさせる、ほろ苦さの残滓。
公式サイトに掲載されている「スプリングバレー・ブルワリー」の写真を見ながら飲み、文明開花の明治の世に想いを馳せる。
頭の中で、モノクロの写真はカラーになり、その醸造所内を想像する。イメージされるのは、積まれた麦の山。いま味わっているのは、その麦の味、麦の濃厚さ、麦の豊潤さなのだ。
商品名にある〈496〉にはいろんな意味があるそうだが、1ヶ月毎日飲んでも飲み飽きないビール、という意図もあるようだ(1〜31を全部足すと496になる)。
なるほど毎日楽しみたいビールだという気もするし、毎日楽しむには味わいがまさに“豊潤”すぎるので、たまの特別な機会に取っておきたいという気もする。
なんにせようまいビール。さすがだね。