【パイプレビュー】桃山 – 日本から生まれた上質・フルーティなパイプタバコ
桃山は1934年より日本産のパイプタバコとして長く愛されてきた歴史ある逸品。
現在はデンマークはマックバレン社が製造しているが、やはり日本人に馴染みやすい味わいがある。
ブレンドはバージニアをメインに、オリエントやブラックキャベンディッシュ等。イギリスタイプ、と説明されているが、ラタキアは入っていない。
着火前の香りは洋酒+フルーツといった感じ。
リーフは適度に乾燥しており、持ちやすく詰めやすい。火付きは良好。
バージニアの甘さと香りがうまく混じり合い、煙とともにフルーツジュースのような甘さが口の中に入ってくる。味わいは明確だが、すっきりとしてベタついたところのない上品な甘さだ。
甘さの奥に、さりげなく、しかししっかりとした旨味もある。いわゆる出汁のような旨味。これはオリエント葉によるものだろうか。
火もちや燃焼もよし。一方、過燃焼しやすく、油断していると味が辛くなるのでゆったりと吸うべきだ。強さはミディアムよりのライト。
香りにせよ味わいにせよ、もちろん西洋風なのだが、そのなかにどこか和の風情が感ぜられる。
イメージされる情景は、浪漫の時代、大正の街並み。海外から渡来した濃厚な洋風と、数百年前から変わらない和風が共存する、そんな世界。
私的分類としては、リラックス系かな…と最初は思ったが、実際には落ち着いたアップ系。しっかりとしたうまさ、ほどよい軽さが、脳や心身を活性化させてくれる。
パイプタバコの中ではお安い部類だが、変な高級タバコよりよほど上質でおいしい。少なくとも好みに合う。日本人パイプ吸いなら、是非一度試してみるべきだ。