【ビールレビュー】サッポロラガービール – 北海道生まれのレトロラガー。厚みのあるシンプルな旨さ
赤星がトレードマークのサッポロラガービールは基本的に業務用として販売されているが、ときどき缶で市販もされている。数量限定らしいので買えるうちに買ってみた。
生まれは明治10年(1877年)。伝統的な製法で醸造された熱処理タイプ。ちょっとレトロ感のあるラベルは、100年以上前からのデザインをアレンジしたものであるようだ。
原材料は麦芽、ホップ、米、コーン、スターチ。度数は5%。色合いはわずかな濃さと微かな暗さを有した、昔ながらのビールといった趣の黄金色。匂いはおだやかな、それでいて渋いビール香。
泡ごとグビリ。泡はいうなればフワシュワタイプ。ミルキーなふわふわさと、爽快なシュワシュワさをあわせもっている。
さてお味は。まずは古典的とも感じられるビールらしい苦味がくる。決して強過ぎはしない苦味だが、しっかりとした存在感がある。なんとなく幼少の頃、試しに舐めてみたビールの苦味を思い出させるな(当時はおいしいなんて思うはずもなかったが)。
続いては、甘みを帯びた麦の香ばしさが、ふんわりと口腔に広がる。これは心地よい。優しくまろやかな旨みと甘さ。
うまし。シンプルな旨さで、複雑さはないかも知れないが、そのシンプルさの中に厚みのある奥深さを感じる。
トレードマークたる赤星は北海道の開拓使のシンボルたる北極星のことだそうだ。
夢に向かって、過酷な肉体労働に従事していた労働者たち。そんな彼らの1日の疲れを癒し、明日への活力となっていたのがこの味なのであろう。
大した労働もしてない遊民の身で彼らに共感を示すのは僭越の極みだが、想いを馳せるくらいは許していただこう。
うむ、がっつり労働した後、ビアホールなどで飲めばそれはそれは極上であろう。たまにはしっかり働こうか―――そんな気持ちにさせられたビールである。