【Beer】SORACHI 1984 - ホップの苦味や香りが全面に出た、唯一無二の味わい【Japan】

 SORACHI 1984はサッポロが作っているクラフト系ビール。

 パッケージの中央に書かれ、これが商品名かと勘違いしてしまいそうな「伝説のホップ」とは、北海道は空知郡上宮良野町で生まれた希少ホップ「ソラチエース」のことを指す。

 ソラチエースの特徴は、その香りが「唯一無二」であるということ。多くのビール好きが味わったことのない香りを体感させてくれるのだそうだ。日本より海外で先に評価されたようで「味に違いが出る」「完成度が1ランク上がる」等、大いに評判になったホップなのだという。

 原材料は麦芽とホップ。ホップはその100%がソラチエース(米国産+北海道産)だ。度数は5.5%。色合いは王道的なビールらしい小麦金色。泡は純白で、繊細さとわずかな荒さ、爽快さと軽やかなクリーミーさをあわせもつ絶妙タイプ。

 さて頂こう。一口飲んで、驚く。なるほどかつて体験したことのない味と香りだ。

 第一に来るのはかなり強めの苦味。みずみずしい新鮮なホップが目に浮かぶような鮮烈な苦さだ。

 その後に来るのはフルーツ。グレープフルーツとレモン。それらの香りや渋みが口の中に広がり、風のように清涼感をもたらす。

 第三に来る味、香りが独特だ。ハーブ? 木? 開発者の方のひとりは「檜の香り」があると述べていたが、そういわれると確かに檜を感じる。またそれらが、麦の旨みやコクと合わさってか、チーズのような風味も生じているように思う。

 様々な味わいを生み、それらをまといつつ、余韻として残るのは最初に味わったホップのいい苦味である。う〜ん、苦味とは本来不快なもののはずなのに、なんでこう心地よく心身に染みるのだろう。

 2杯目は泡が多めになるように注ぎ、ガブリとやや大胆に飲んでみる。

 するとフルーティさの中に甘みが花開き、マスカットが生まれる。チーズ感も、高熟成のゴーダやチェダーから、クリームチーズ的な感覚に変わったような印象を受ける。複雑で奥深い味わいはそのままに、飲み口も軽やかになる。

 目を閉じて浮かんでくるイメージは、北海道の自然だ。北国なので冬と雪の印象がつよい北海道だが、夏には様々な力強い緑で溢れる。

 伝説のホップ。まさにホップの霊力が存分に溢れているようなビールだと思う。不慣れな人には苦すぎる渋すぎると感じるかもしれない。しかし染みる者にはつくづくと染みるのだ、この苦味と渋味が。