ダビドフ プリメロス(シリーズ5種)

 プリメロスシリーズはダビドフが出しているプリトス系缶入りシガー。

 プリトス系にしてはやや高価格となるが、さすがはダビドフ、全てにおいて質が高い。味や満足感にしても、下手なラージサイズシガーの遥か上をいく。

 与えてくれる幸福感を考えるとむしろリーズナブル? なプリトスである。

ダビドフ プリメロス5種の紹介

 ダビドフ プリメロスはドミニカ、ドミニカマデューロ、ニカラグア、ニガラグアマデューロ、エスクリオ(ブラジル)の5種類がある。

 サイズはどれも長さ約104mm、直径約13mm。やや太めのプリトスである。

 ひとつひとつ紹介していこう。

ダビドフ プリメロス ドミニカ

ダビドフ プリメロス ドミニカ

 ドミニカ産のナチュラルタイプ。

 明るいブラウンのボディからは、やわらかな木の香りが漂う。

 味わいとしては渋く濃いビターさがメイン。

 その苦味が「良い」と感じられるのは、その奥に様々な味わいが溶け込んでいるからだ。甘さ、ナッツのようなコクと風味、僅かなミルク感とコーヒー感。それらを味付けするスパイスの辛み。

 良質な奥深さを味わいながらイメージする情景は、中世貴族の邸宅を模したような喫茶店。メニューのコーヒー欄の一番上にある、ただ「ブレンド」と名付けられたブラックコーヒー。シンプルかつオーソドックスなようで、いちばんおいしく、味わい深い。

 私的分類としては、良き苦味の中に心身を委ねさせてくれるリラックス系。甘い飲み物と合わせてもいいかもしれない。

ダビドフ プリメロス ドミニカ マデューロ

ダビドフ プリメロス ドミニカマデューロ

 ドミニカ産の熟成版。本体からは木と土の香り。

 マデューロタイプだけあり、味は濃い。甘さが濃い。

 濃い甘さの中に、スパイシーさやほのかなビターさが溶け込んでいる。

 イメージされる情景は、夜の書斎。立派な本棚に並んだ高価で希少な書物の数々。

 私的分類は、体や神経を弛緩させつつも、脳の働きを活発化してくれるようなリラックス系だ。

ダビドフ プリメロス ニカラグア

ダビドフ プリメロス ニカラグア

 こちらはニカラグアリーフを用いたタイプ。

 本体からは若干の枯れ草臭がするかな? 火をつけた瞬間、ちょっと焦げたクッキーのような香ばしい香りが漂う。

 紫煙は爽やかなビターさがメイン。甘みや旨味、スパイシーさは控えめながらも気品ある態度でその後ろに存在する。

 後半になるとその後ろにいた味わいがグングン強まってくる。だが同時にビターさも強まる。それらが交わり合い、野生的で力強く奥深い味わいとなる。最後の方は土に含まれる岩塩のような塩辛さもくる。

 イメージされる情景は、風吹く夏の草原。一見のどかな風景だが、照りつける日光も、青々した太い草たちも、台風を予兆させる強い風も、どこか凶暴なほどパワフルだ。

 私的分類としては、味わいの強まりとともに底力が湧きあがってきそうなアップ系としたい。

ダビドフ プリメロス ニカラグア マデューロ

ダビドフ プリメロス ニカラグアマデューロ

 ニカラグアのマデューロタイプ。濃くワイルドなブラックブラウンのボディからは、カカオとわずかな鰹節の香り。

 甘さは控えめだが、旨みとビターさとスパイス感がほどよく融合しあった感じ。

 強く、濃厚だがバランスの良さも感じる。何かが突出したり、尖った感がなく、吸いやすい。

 イメージされる情景は、黒々とした樹木。その幹の中には大地の栄養を凝縮したような樹液が詰まっている。

 私的分類としては自分の「根」の部分を力強く支えてくれそうなアップ系。

ダビドフ プリメロス エスクリオ

ダビドフ プリメロス エスクリオ

 こちらはブラジルリーフを使ったタイプである。

 明るさの中に濃い部分もあるブラウンボディからは、かすかに甘い香り。じっとりと湿った木の中に含まれるほのかな蜜。

 味わいとしては、ブラジルリーフだけあって甘い。ビターさやスパイシーさ、うまみある辛さは甘さを引き立てる香辛料だ。中盤以降は、香ばしい焼き菓子の風味も出てくる。

 ブラジルリーフのシガーはそんなに種類を見ないけれど、どれも驚くほど甘くておいしい。

 イメージされる情景は多くの実がなった南国の果樹園。陽光に照らされ、果実たちはお祭りのようにきらめいている。

 私的分類としては、華やかで爽やかな気分になれるアップ系だ。

品格ある質の高さを日常に

ダビドフ プリメロス(シリーズ5種)

 どのシガーも葉がしっかりと詰まっている。燃焼はゆっくりめ。

 絶妙に「やや締まった」感じを実現しているが、ドローは良好。緩からず、きつからず、だ。

 味わいに個性はあるが、どれも共通して「品格ある質の高さ」のようなものを感じさせる。

 気軽にデイリー用として吸うにはちとお高いかも知れないが、日常生活の中にたまにこういうシガーを交えることで、何気ない生活に高級な彩りを与えることができるように思う。

 なお今回は楽天・大越酒店の「ダビドフ・プリメロス 吸い比べセット」を試した。

 ドミニカが2本、その他が1本ずつの6本セットである。最初はこれで自身のお好みをさぐってみられると良い。