【Beer】一番搾り - ふんわりしつつも濃厚な麦の甘さ【Japan】

 キリン一番搾り。これもまた黒ラベルと並んで好きなビールなのだ。

 一番搾りとは「ビールを造る際、原料の自重だけで自然に流れだしてくる麦汁のこと」だそうで、このキリン一番搾りはその麦汁のみを使用しているとのこと。

 それによって渋みを抑え、さっぱりとした味に仕上げているらしい(とはいえ二番搾りもそれはそれで奥深い渋みがあるそうで、他の多くのビールは二番搾りも利用して、独自のおいしさを生み出している)。

 ともあれ飲んでみよう。原材料は麦芽とホップ。度数は5%。苦さ指数たるIBUは21だそうな。色合いは明るめの黄金色で、確かになんだか新鮮そうな印象。

 泡は若干荒めでさわやか。ほどよく食道を刺激する喉越しが快。それでいてクリーミーにまとまっている感もある。

 そいつをぐびりとやってまず感じるのは、麦の香ばしい風味をともなったコクのある苦味だ。

 その苦味はすぐに引っ込み、次に来るのは旨味と甘さ。それらをじっくりと楽しんだのち、余韻として、まろやかな柑橘の風味が残る。

 苦味、旨み、甘さ、フルーティさ―――それら味わいのすべてを、ふんわりとした麦の風味が後ろで支えている。あるいはほのかに包み込んでいる。

 鼻でかいでの香りはひかえめだが、それもまた、ビールらしいアルコールの香りや柑橘香が、まったりとした麦の風味に包まれているように思う。

 イメージされるのは、晴天の下の小麦畑。その近くにあるパン屋さん。そこで焼かれる、おいしいパンやクッキー。

 もちろん単純にお菓子的な軽い味わいではない。飲みやすさを損ねない範囲での重厚さや濃厚さもある。それらによる充足感を楽しみ、しばらく置いて、また一口飲んだときに香る麦の風味、それとともに感じる旨さ。

 うーん、幸せ。こいつを飲むために生きてんな~、と思わせてくれる、そんなビールのひとつである。